2006/01/15

八幡屋の白濁スープ

井戸にある「和風鰻麺八幡屋」の
看板メニュー「燻製鰻麺」が昨年末より改良されています。
本店で使用しているブランド鰻「板東太郎」の
頭を投入して作る八幡屋のスープですが
今回改良したのは鰻ではなく豚骨。
ベースとなる豚骨スープをいじってきました。

ywty八幡屋の白濁スープといえば
豚骨をメインに挽肉などの動物系素材を煮込み
見た目よりもあっさり仕上げているのが特徴ですが
今回のスープはかなり濃度が高く粘度も出ています。
それでいて後口をさらっと感じさせるのは
節系が多く入っているからでしょうか。

スープの粘度が上がったからでしょうか
麺との絡みも格段によくなった…ん?
麺の食感も、切り刃も違うんじゃ?
中村さんに伺ったところスープをいじったと同時に
やはり麺の方も改良をしたのだそうです。
以前の麺は割とスープをはじく性質がありましたが
今回の麺はいい具合に麺と絡みます。
この1年ちょっとで随分麺は進化したと思います。

なぜスープが濃厚になったのか。
私が勘ぐるに、少なからず竈の番人荒木さんの影響があるのでは。
イベント合作を通じて知り合った二人ではありますが
「拉麺トーク」でもあるように、お互いのラーメン作りに対して
意見交換や情報交換を積極的に行っているようです。
荒木さんが八幡屋に来たように、中村さんも竈の番人の仕込みから
見学に行ったという話も聞きました。
そういった経験を中村さんなりに吸収し消化して
今のこの白濁スープがあるように思います。

落ち着いて考えればオープンしてまだ1年ちょっと。
若干28歳の中村さん、まだまだ色々な物を吸収して
どんどん変化、進化していくのでしょう。
そういうお店の変化をウォッチしていくというのも
ラーメン好きの楽しみの一つかもしれませんね。

【関連記事】八幡屋の春味
【拉麺トーク】
【八幡屋@ちはら台レポ】

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2006/01/11

大竹ラーメンの麺

西千葉に新しいラーメン店がオープンしました。
「大竹ラーメン」という名前のお店です。
以前ここは「パーコーラーメン風」があった場所で
その後、「なみや」という竹岡式ラーメンの店になりました。
そして昨日この「大竹ラーメン」が正式オープンしたのです。

正式オープン、というのには意味があって
実はこの店、昨年の11月には出来上がっていました。
花輪も出てオープンしたはずだったのですが
営業したのはほんの数日で、幻の新店などと揶揄されたことも。
かく言う私も3度ほど足を運び振られています。
シャッターも閉まってて、というなら諦めもつくのですが
店内にはスタッフがいつもいて、湯気がもうもうと立っていて
厨房の中で非常に難しい顔をしてラーメンを作っている。
味が決まらないのか、とにかくいつ行っても試作していて
その様子は見えるのですが、中には入れないという
なんとももどかしい感じで1ヶ月以上が経っていったわけです。
それがようやくの正式オープンだというので早速足を運びました。

事前情報としていわゆる竹岡式の店だとは聞いていました。
そうするとやはり製法に目が行ってしまうわけで
厨房でラーメンを作っている様子を観察していると
嬉しいことに四角い麺塊を取り出して
小さな小鍋にその麺を投入していました。
梅乃家御用達、千葉から世界にその名を轟かせる
「都一製麺」の乾麺をこの店でも使用していました。
これこそ竹岡式、都一の乾麺。

都一製麺という会社は千葉市に本社を構える、
歴とした千葉発祥のご当地産業です。
開業当初は村田製麺という名前でスタートしましたが
その後都一製麺という屋号に変更になっています。
業務用はもちろんスーパーなどに家庭用の商品も
数多く製造している県内屈指の製麺所です。
そしてその商品の主力になっているのが乾麺です。

今でこそどこででも、そしてどんな商品にでも目にする
あの四角く成形されたインスタント麺がありますね。
韓国料理店なんかでラーメン頼むと必ず出てくる
真四角の麺の塊がありますね。
その元祖というか製法の特許を持っているのが
この都一製麺だというのはご存じでしたか?
この製法は「屈曲製麺法」というのだそうですが
調べていたらなんと国立科学博物館にその資料はありました(驚)

それによれば
「従来、中華麺は麺線を手で揉んで
屈曲させていたが非常に手数が掛り、
一定の屈曲麺を得ることは不可能だった。
極めて簡単で小型の装置で作り出された屈曲麺を
蒸気加熱室を通過させる事により加熱糊化するので
麺線の屈曲壁が交互に糊着して丈夫になり、
小波状に屈曲する麺線を機械的に連続して大量生産する事が出来、
乾燥後は切断、包装や運搬等での衝撃にも強く
容易にその形態を崩す事がなく
極めて優秀な製品が得られる様になった」
とあります。

その製法でインスタント麺の製造を始めたのが
昭和28年といいますから、あのチキンラーメンよりも古い。
ではなぜチキンラーメンが世界初のインスタントラーメンかといえば
チキンラーメンは麺にスープが付着していて
お湯を注ぐだけでラーメンが出来上がるから。
都一が販売を開始した「中華そば」という商品は
スープなし、麺のみという商品なのですね。
いずれにしても、都一製麺の乾麺は
ラーメン史上にその名を残す、偉大な商品と言ってもいいでしょう。

ohtakeさて、話が少し逸れてしまいましたが
大竹ラーメンのラーメンは
その都一の乾麺をかなり柔目に茹で上げます。
なので梅乃家とは大分食感が違います。
通常湯切りをしないのが竹岡式の流儀ですが(笑)
この店では小鍋で茹でた麺をテボに入れて湯切りします。
430円という低価格で厚手のチャーシューが4枚。
梅乃家よりも街中で、梅乃家よりも安い価格は拍手です。
チャーシューの醤油くさい感じは非常に竹岡的で良いのですが
スープというかカエシが非常に甘〜いのです。
なんでこんなに甘いのだろう?

【国立科学博物館ー産業技術の歴史〜中華そば屈曲製麺法】
【都一製麺HP】
【大竹ラーメン@西千葉レポ】
【関連記事】「正しい」竹岡式ラーメン論

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2005/09/16

光屋の全粒粉麺

士有木と書いて何と読むかご存じですか?
鉄道マニアの方なら一発だと思いますが
小湊鐵道の駅にもなっている地名です。
これで「あまありき」と読みます。
私のPCに入っているATOKは見事に一発変換しました、が、
たった今入力した「いっぱつへんかん」は
一発で変換出来ずに「一発返還」になりました…orz
頭がいいんだか、悪いんだか(呆)

さてと、話が逸れてしまいましたが海士有木です。
この海士有木に新店が出来ました。
海士有木の駅が最寄りということになりますが
あくまでも最寄りってだけで、駅から歩くのは大変です。
電車よりも自動車で行くことをお薦めします。
市原市街から国道297号線を南下して
海士有木の駅を越えた先の左側です。
見事に周りは田畑のみなので、すぐ分かるはずです。

このお店はなんでも五井の駅前にある和食屋?居酒屋?の
「とやま」というお店が経営しているのだそうです。
古びた感じがする外観のお店には真新しい看板が掲げられています。
店名の「光屋」という文字の回りには
「ダブルスープが自慢」
「つるつるシコシコ麺」
「げんこつスープ」

などと描かれています(^^;

メニューに目をやると、そこには
「スタッフが慣れるまでは醤油らーめんのみになります」
との文字が書かれています。
慣れるまでは店を開けるなよ、という突っ込みを飲み込んで(笑)
その醤油らーめんをいただくこととします。
ちなみに価格は580円で並も大(1玉半)も同料金なのだそうです。

厨房に目をやると、これは先入観かも知れませんが
いかにも職人然とした方が腕を振るっています。
フロアはすべて女性で、中におかみさんと呼ばれている
女性がいらっしゃいました。その居酒屋の女将なのでしょうか。

hikariyaさてさて程なくしてラーメンが登場です。
某市原担当のL氏(爆)に見せて頂いた写真よりも
明らかに目の前のスープの方がにごっています。
心静かにレンゲを手に持ち一啜り…。
豚骨ベースのあっさり、かつシンプルな味わいで、
そこに和風のテイストも若干ではあるが感じます。
バランス的には非常にカエシの甘さが突出していて、
味醂などを使った、いわゆるそばなどのかえしに近い
作り方をしているのではないかと推測します。
しかしスープの印象としては甘さが多少気になるものの
決して悪くはなく、普通に美味しくいただける一杯になっています。
奇をてらわずに、万人受けする上品なまとめ方をしていると思いました。

具に今となっては珍しくもなくなった水菜が乗っていて
食べ歩いたり研究されているのかなとは感じました。
チャーシューは独特な味付けがされていて、ちょっと癖を感じます。
580円の価格で玉子が半個入ってくるのも嬉しいです。
またなるともしっかりと入っていました。

麺には若干斑点のように粒が見えます。
これは全粒粉を使った麺とのことでしたが、
いわゆる全粒粉を使った麺の食感が感じられない麺で、
茹で加減が柔かったということもあるのでしょうが、
それだけではない麺の素性の問題であるようにも感じました。
非常に近い食感で覚えがあるのは、マメさん@函館の布海苔入りの麺。
見た感じも食べた感じも非常によく似ています。
まぁ全粒粉バリバリの食感の麺がこの地に合うとも思いませんし
これはこれでスープにも合っていると思いました。

さて、スタッフが慣れるまでは醤油らーめん一本だそうですが
スタッフが慣れてきたら、何を食べさせてくれるのでしょうか?
メニューにその一部が書かれておりました。

「あんかけ熱々らーめん」
「塩つくねらーめん」
「胡麻だしらーめん」

これは早くスタッフに慣れていただくしかないッスね(^^;

【光屋@海士有木レポ】
【酒と肴と鮨とやまHP】

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2005/08/28

田島商店のホーロー看板

葉と市原を合わせて「ちはら台」。
ちば、いちはら、で、ちはら台という名前が
公団が考えたニュータウンの名前です。
漢字で書くと「千原」台といったところでしょうか。
しかし地名なんてそんなもんですよね。
「谷津」「菊田」「鷺沼」という3つの町名を
合わせたのが「津田沼」だってご存じでしたか?(^^;

【8/30追記】
なんて偉そうに能書きを垂れておりましたら
サブ会議室でスイカさんより
「菊田」ではなく「久々田」だというご指摘を頂きました(^^;
詳しくはこちらをご参照下さい。

さて、このちはら台に新店が出来ました。
いや、ぶっちゃけラーメン不毛地帯のこの場所。
千○らーめんとかしかないんですもんね(^^;
そこに期待の新店が登場!というわけです。
モノレール桜木駅近くにあった「昌らーめん」が
移転して、店名も「田島商店」となっての再出発。
これは期待せずにはいられないわけです。

黒塗りの建物に白い看板は結構目立ちます。
そして軒先にぶら下げられたのがホーロー看板。
店の前には利根コカコーラ寄贈の赤いベンチ。
豚さんの蚊取り線香が置かれたりしています。
昭和レトロの空間を演出しているようです。

これは店内に入るとさらにエスカレートしています。
色々な種類のホーロー看板が配されていて
裸電球の電信柱なんかも置かれたりしてます。
古い駅舎の待合室か、駄菓子屋さんのような雰囲気です。
実際店の入口には本当の駄菓子屋スペースが存在していて、
家族連れの子供たちはラーメンを食べ終わった後、
この駄菓子スペースに集まっていました。
この存在は店内に活気が溢れ、いい効果を生んでいると思います。
まぁ、広いフロアでないと難しいとは思いますが(^^;
フロアレイアウトとしては、
間仕切りのされた4名用のテーブルが7卓と
厨房に面したカウンター席が5席あります。
店内には古い歌謡曲がBGMとして流れています。
「お〜い中村君」が耳に残ります(^^;

そう言えば、先月東金にオープンした「富士乃家」も
同じ様な昭和の面影を持った雰囲気のお店でした。
富士乃家はフロアスタッフが割烹着を着ている店ですね(^^;
新横浜ラーメン博物館が流行ってからというもの
こういう内装、コンセプトのお店が増えてますが
この田島商店や、富士乃家などは
かなりしっかり作りこんでいて、なかなか楽しめます。
ラーメン待っている間も店内を眺めていれば飽きません。

tjmさて、肝心のラーメンですが、
いわゆる豚骨醤油系のスープですが、
さらりとした口当たりのするスープです。
濃度云々というよりも、背脂が溶けていて
甘さが加わっているといった印象でしょうか。
そしてカエシも随分と甘く感じました。
昌らーめんと変わらない味、とのことでしたが
ここ最近の昌らーめんを食べていなかったので
昔とは違う味だなぁとしか思いませんでした。

麺は札幌・小林製麺の多加水縮れ中細麺。
つるつるしこしこ系のぷっちんとした麺です。
スープとの相性が気になりましたが、縮れているせいか
意外にこの粘度の少ないスープを拾ってくれます。
具はバラロールチャーシュー、メンマ、ネギ、海苔、半熟味玉で
ほろりと崩れるチャーシューは柔らかくて美味でした。
味玉が1個基本でついてくるのは味玉フェチ的には嬉しいです。

競合店がほとんどない立地ということもあるでしょうが
開店して早速行列が出来る程の人気になっています。
接客も悪くないですし、リピーターが増えていって
この新天地でも人気店になるのも間違いないでしょう。
ぜひこの不毛地帯を熱く盛り上げて欲しいです。

【関連記事】富士乃家の割烹着
【田島商店@ちはら台レポ】

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2005/08/18

「5カ国協議」的冷し中華

津の「いなばのしろうさぎ」で
夏限定メニューがいくつか登場しています。
その中に「冷やし中華」がありましたので食べてみました。
ラーメン屋さんが作る創意工夫された冷やし中華。
冷やし中華嫌いの私を納得させる、冷やし中華はないものか。
冷やし中華嫌いの私の、最近の夏の楽しみの一つでもあります(笑)

うさぎの冷やし中華には、2002、2004と2種類ありました。
この数字は発表した年号のようで、今年は冷やし中華の代わりに
冷やしつけ麺を出しているので、2005バージョンはありません。
まずオーソドックスな味わいという2002バージョン。
この2002年という年は、まだいなばのしろうさぎが
ラーメン屋を始める前のことで、この当時は
お弁当で「冷やし中華」を出していたのだそうです。
そのレシピで出しているのが2002です。
これは至ってシンプルな、スタンダードな冷やし中華。
定番中の定番、といった味です。

usagihiyashiそして今回私が食べたのは2004バージョン(720円)。
これがなかなか新しい味わいでよかったです。
基本的な方向性は、いわゆる酸味と醤油の
冷やし中華的な味わいになっています。
しかし、その酸味が非常に丸くまろやかなのです。

その柔らかい味わいの秘密は、信州のリンゴ酢と蜂蜜。
リンゴと蜂蜜、と聞くと西城秀樹を思い出しますが(古)
このアメリカ発祥の「バーモント」の組み合わせが
日本で生まれた冷やし中華に使われるという。
さらにその上には唐辛子味噌で絡めたチャーシューが
乗っていますので、これは殆ど韓国、北朝鮮風。
これであとピロシキか何かが登場すれば
丼の中が「6カ国協議」状態になるんですけど(^^;

冗談はさておき、このバーモントダレがなかなかのモノで
サーブされるタイミングではシャーベット状になっているので
非常に冷たく、徐々に味が濃くなっていくのです。
そしてこのバーモントのまろやかな味わいに
唐辛子味噌の鮮烈な辛さが混ざると、また違った味が楽しめます。
色々な酢を試したそうですが、信州産のリンゴ酢が
一番柔らかく、優しい味になったのだそうです。
酸味が苦手な人でも全然気にならない程です。
具は生レタス、白髪ネギ、キュウリ、モヤシなどの野菜に
クラゲ、ワカメなどの海産物もあり、サラダ麺的な要素もあります。

冷やし中華嫌いな私ではありますが、この一品は満足しました。
冷やし中華好きな方にもおすすめ出来る一杯だと思います。

【関連記事】いなばの限定
【いなばのしろうさぎHP】
【いなばのしろうさぎ@君津レポ】

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2005/04/06

「正しい」竹岡式ラーメン論

当地ラーメンというものがあります。
札幌の味噌ラーメンや、九州の豚骨ラーメンなどのメジャー級から
山形の冷やしラーメンのようなマニアックなものまで。
そしてラーメン好きな方なら当然ご存じのように
千葉のご当地ラーメンといえば、「竹岡式」ということになります。

当然ラーメン好き同士の会話などでも話題になったり
ラーメンムックなどでも紹介されることがあります。
しかし、意外にも正しい竹岡式を知っている方や
正しい竹岡式の情報が記されているモノは少ないです。
あくまでも竹岡式ラーメンの発祥とされる店、
竹岡漁港の「梅乃家」を基準として考えた場合ですが
間違いやすい竹岡式の知識を今一度整理してみたいと思います。
ニュースソースはもちろん梅乃家ご主人の坂口さんです。

竹岡式の麺は乾麺?
麺は乾麺を使うのが基本ですが、それには理由があるのです。
通常ラーメン店では、修業した技術のある方など
決まった人が必ず麺上げをしています。
それはその日の麺の状態などを見切って作るなど
経験や技術が必要な作業だからです。
しかし梅乃家ではパートのおばちゃんなど、
作り手が素人であるばかりか、日によって違う人になります。
そこで、どんな人でも同じように作れる麺ということで
乾麺を使用することになったのだそうです。
無論、麺の在庫管理がしやすいということもあると思います。

また乾麺でなければ竹岡式ではない、という指摘は
心情的には非常に同意出来る部分ではありますが
梅乃家でも乾麺以外に生麺を用意している事実からも
決して正しいとは言い切れないと思います。

ちなみにトリビア的なネタとしては
梅乃家で使用している乾麺は千葉市の「都一製麺」製で
一杯のラーメンに約1玉半を使って作ります。
作る時に乾麺をパキッと2つに割って合計1個半を投入するのです。

麺の茹で湯がスープ?
よく雑誌などでも記されていますが
「チャーシューの煮汁を乾麺の茹で湯で割る」というのは
実は間違いである可能性が強いです。
もしかしたら昔はそうだったのかも知れませんが、
少なくともここ数年梅乃家において私が見た限り、
あるいは坂口さんから話を聞いた限りにおいては
茹で湯は捨てて、新しいお湯を注ぐことになっています。
理由は簡単で、茹で湯だと味がぼやけてしまうから。
まっさらなお湯の方がスープが美味しくなるからだそうです。

チャーシューは炭火で仕込む?
これは似たような味を持つラーメン店で
炭火で仕込んだチャーシューを売りにしている店があって
そのように思われている部分も多いと思います。
梅乃家でも最初は大きなボールを七輪に乗せて
チャーシューを仕込んでいたそうです。
しかし小さな七輪の上に大量のチャーシューの乗ると
非常にバランス、安定性が悪くなり
ひっくり返したり火傷したりといったことが何度かあったのだそう。
その時以来、梅乃家のチャーシューは「ガス」で煮込まれています。

しかし七輪は今でも梅乃家の厨房で活躍しています。
それは麺を茹でる時に使われているのです。
チャーシューは「ガス」ですが、麺茹では「炭火」が梅乃家の流儀。
理由は炭火の方が麺がふっくらといい食感になるからだそうですが
ホントにそうかは比較したことがないので私には分かりません(^^;

---
とここまではいわゆる「梅乃家」のラーメンの話です。
しかし、ご当地ラーメンとはフランチャイズのラーメンではないわけで
梅乃家のラーメンと全く同じである必要はないと思いますし
自然伝播的に広がっていくのがご当地ラーメンであるならば
この派生形を見ていくのもまた楽しみ方かなと思います。

そうすると緩やかな基準にはなるかと思いますが
私が個人的に考える竹岡式と成りうる要素を列挙すると
およそ次のような感じになるでしょうか。

・醤油が立ったスープバランス
 (出来ればチャーシューの煮汁をタレに使用して欲しい)
・あまりダシの出ていない醤油色の黒いスープ
 (お湯もしくはさらっと取った軽いスープ。色は醤油の真っ黒で)
・食感、味にあまり感動しない麺
 (出来れば乾麺が望ましい。自家製麺などもっての他)
・ごろっとした大降りのチャーシュー
 (色々な調味料の味よりは醤油直球勝負の味)
・薬味は刻みタマネギ
 (刻み方はほどよい大きさで。もちろん増量可能)
・価格が安い
 (デフォルトで上限ワンコインが理想でしょうか)

以上の条件をある程度満たしていれば
私の中では「竹岡式」になっています。

murasaki佐倉にオープンした新店「紫」は
そういう意味で「竹岡式」といっていいでしょう。
醤油臭いというよりは甘めのカエシの味で、
色も真っ黒スープ!とはいきませんが
あとの要素はほぼクリアしていると思われます。
若いご主人が一生懸命頑張っている様は好感が持てますし
デフォルトのラーメンが450円というのも嬉しい。
また小さな漁港で生まれた千葉のご当地ラーメンが
佐倉といった千葉の内陸部で食べられるというのも嬉しいですね。

【紫@佐倉レポ】


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2005/03/23

八幡屋の春味

原の「和風鰻麺八幡屋」は
昨年来注目しているラーメン店の一つです。
店主の中村さんはまだ20代。
鰻屋の息子として生まれ、和食の修業を経て実家へ戻り
「八幡屋分店」という支店を任されるようになりました。
いわゆる2代目ボンボンならば、そこで適当に商売をやるのでしょうが
彼は本店とは違うアプローチでなければ存在意義はないと判断。
「ラーメン」を軸にしたメニュー構成を考え、
ついには店名までも「和風鰻麺八幡屋」と変えてしまいました。

鶏ガラなどの動物系スープに節系を入れた濃厚スープには
鰻店を本店に持つことから鰻の頭を加えてあります。
そして具にも燻製鰻や鰻天麩羅を使用していて
この店ならではの世界観、オリジナリティを持っている店だと思います。
麺も自分で打ってこそラーメン屋だろうと、
およそラーメン初心者とは思えない高い志を持ち
日々麺打ちにも励んでいると聞きます。
元気があるというか、やる気に満ちあふれているというか。
非常に好感の持てるお店であり、店主だと思います。

今回CW限定でテーマを「新緑」としたのは
これから千葉のラーメン界を牽引していく若い力
そんなイメージを持ったお店を考えたからです。
通常の限定ラーメンの店選びをする場合、
お店が安定するまで味が定まるまでは
新店には余計な仕事を増やして欲しくないという趣旨で
こういう企画にはお誘いしないことが多いのですが
このお店に関してはそれでもやって欲しい
どんな創作春味ラーメンを作るのか見てみたい
そんな思いで今回創作のお願いをしたところ
快諾していただけました。

yawataya_sakuraそして完成したラーメンは
その期待を遙かに上回る出来映えでした。
「若葉のころ」と名付けられたラーメンは
ホウレンソウを練り混んだ自家製の太麺と
海老味噌を使った濃厚なスープの一品。
具の春野菜は別皿に盛ってあり見た目にもお洒落です。

海老味噌を使ったスープにはニンニク油やベーコンなど
他の素材の風味も加わっていて、かなり深い。
若干製法は違うにしても、フレンチのアメリケーヌソース的な
色味と味わいが口の中いっぱいに広がります。
このスープと自家製麺だけの組み合わせでまず成立している一杯。
そして時折別皿に盛られた春の野菜を箸休め的に楽しむ。
あるいはスープに入れて味わうのも一興。
具を別皿にしたのは、味的にも視覚的にも大正解だったと思います。

やはりこのお店にお願いしてよかった。
そう思える一杯でした。
そしてこれからどんな世界観を見せてくれるのかを
期待させる一杯でした。

【八幡屋@ちはら台レポ】

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2005/02/19

いなばの限定

津にある「いなばのしろうさぎ」
元々お弁当屋さんという変わり種のラーメン店です。
だからメニューにはコロッケやカレーなどもありますし
今でも100食限定でお弁当さえも作っています。
そんなラーメン屋さん、どう思います?
私ははっきり言って許せません(爆)

コロッケだのカレーだの、日替わり定食まである店のラーメン。
普通そういうお店のラーメンは「?」という場合が多いんですよね。
余計なことしてるからラーメンの味が今一つなんじゃ、
もっと真剣にラーメンに専念しろや、と思ってしまう。

しかし、この店だけはちょっとというか、大分違う。
どのメニューもなかなかの味を出しているのですから見事です。
普通これだけのメニューがあったら流してしまうというか
チャラっと片づけちゃう仕事がありそうなものですが
この店の場合はどれも気合いが入っている。

それもこれも、店主の義崎さんが気が多い人だから(^^;
色んなものをやってみたくなってしまうのですね。
そしてそのどれに対しても真剣になってしまう。
つくづく手を抜けない性分の人なのでしょう。
端で見ていても呆れてしまいます。

カレーは5日間も煮込んだ本格派のフォン・ド・ヴォー。
コロッケも代々レシピを守り抜いた手作りの味。
そしてラーメンも上総赤鶏と名古屋コーチンを使った
すっきりと澄んだ滋味溢れるスープ。
この店に来ると何を頼んだらいいのか迷ってしまいます。

そんなこだわりを持つ義崎さんが
毎週土曜日に限定ラーメンを始めてしまいました。
しかも日替わりで色々なラーメンに挑戦するのだとか。
またまたやってみたくなってしまったようです(^^;
弁当の仕込も、カレーの煮込みもあるのに
まだやるか、って感じです(笑)。

inabam今日の限定ラーメンは
「鯛だしラーメン」(880円)でした。
すっきりした透明なスープは甘鯛のみで取ったもの。
そこに天然塩などでほんのりと味をつけてあります。
鯛のすり身や鶏軟骨のつくねが具として乗ります。
ほんのりとしみじみと旨い、手間のかかった一杯と感じました。

毎週土曜日に出すこのラーメンでは
もっと色々と遊んでみたい、と義崎さん。
ますます何を頼んだらいいのか迷ってしまう人が増えるでしょうね。
ちなみに来週の土曜日は「豚角トマト煮込みラーメン」だそうです(^^;

【いなばのしろうさぎHP】
【いなばのしろうさぎ@君津レポ】

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