ご当地ラーメンというものがあります。
札幌の味噌ラーメンや、九州の豚骨ラーメンなどのメジャー級から
山形の冷やしラーメンのようなマニアックなものまで。
そしてラーメン好きな方なら当然ご存じのように
千葉のご当地ラーメンといえば、「竹岡式」ということになります。
当然ラーメン好き同士の会話などでも話題になったり
ラーメンムックなどでも紹介されることがあります。
しかし、意外にも正しい竹岡式を知っている方や
正しい竹岡式の情報が記されているモノは少ないです。
あくまでも竹岡式ラーメンの発祥とされる店、
竹岡漁港の「梅乃家」を基準として考えた場合ですが
間違いやすい竹岡式の知識を今一度整理してみたいと思います。
ニュースソースはもちろん梅乃家ご主人の坂口さんです。
竹岡式の麺は乾麺?
麺は乾麺を使うのが基本ですが、それには理由があるのです。
通常ラーメン店では、修業した技術のある方など
決まった人が必ず麺上げをしています。
それはその日の麺の状態などを見切って作るなど
経験や技術が必要な作業だからです。
しかし梅乃家ではパートのおばちゃんなど、
作り手が素人であるばかりか、日によって違う人になります。
そこで、どんな人でも同じように作れる麺ということで
乾麺を使用することになったのだそうです。
無論、麺の在庫管理がしやすいということもあると思います。
また乾麺でなければ竹岡式ではない、という指摘は
心情的には非常に同意出来る部分ではありますが
梅乃家でも乾麺以外に生麺を用意している事実からも
決して正しいとは言い切れないと思います。
ちなみにトリビア的なネタとしては
梅乃家で使用している乾麺は千葉市の「都一製麺」製で
一杯のラーメンに約1玉半を使って作ります。
作る時に乾麺をパキッと2つに割って合計1個半を投入するのです。
麺の茹で湯がスープ?
よく雑誌などでも記されていますが
「チャーシューの煮汁を乾麺の茹で湯で割る」というのは
実は間違いである可能性が強いです。
もしかしたら昔はそうだったのかも知れませんが、
少なくともここ数年梅乃家において私が見た限り、
あるいは坂口さんから話を聞いた限りにおいては
茹で湯は捨てて、新しいお湯を注ぐことになっています。
理由は簡単で、茹で湯だと味がぼやけてしまうから。
まっさらなお湯の方がスープが美味しくなるからだそうです。
チャーシューは炭火で仕込む?
これは似たような味を持つラーメン店で
炭火で仕込んだチャーシューを売りにしている店があって
そのように思われている部分も多いと思います。
梅乃家でも最初は大きなボールを七輪に乗せて
チャーシューを仕込んでいたそうです。
しかし小さな七輪の上に大量のチャーシューの乗ると
非常にバランス、安定性が悪くなり
ひっくり返したり火傷したりといったことが何度かあったのだそう。
その時以来、梅乃家のチャーシューは「ガス」で煮込まれています。
しかし七輪は今でも梅乃家の厨房で活躍しています。
それは麺を茹でる時に使われているのです。
チャーシューは「ガス」ですが、麺茹では「炭火」が梅乃家の流儀。
理由は炭火の方が麺がふっくらといい食感になるからだそうですが
ホントにそうかは比較したことがないので私には分かりません(^^;
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とここまではいわゆる「梅乃家」のラーメンの話です。
しかし、ご当地ラーメンとはフランチャイズのラーメンではないわけで
梅乃家のラーメンと全く同じである必要はないと思いますし
自然伝播的に広がっていくのがご当地ラーメンであるならば
この派生形を見ていくのもまた楽しみ方かなと思います。
そうすると緩やかな基準にはなるかと思いますが
私が個人的に考える竹岡式と成りうる要素を列挙すると
およそ次のような感じになるでしょうか。
・醤油が立ったスープバランス
(出来ればチャーシューの煮汁をタレに使用して欲しい)
・あまりダシの出ていない醤油色の黒いスープ
(お湯もしくはさらっと取った軽いスープ。色は醤油の真っ黒で)
・食感、味にあまり感動しない麺
(出来れば乾麺が望ましい。自家製麺などもっての他)
・ごろっとした大降りのチャーシュー
(色々な調味料の味よりは醤油直球勝負の味)
・薬味は刻みタマネギ
(刻み方はほどよい大きさで。もちろん増量可能)
・価格が安い
(デフォルトで上限ワンコインが理想でしょうか)
以上の条件をある程度満たしていれば
私の中では「竹岡式」になっています。
佐倉にオープンした新店「紫」は
そういう意味で「竹岡式」といっていいでしょう。
醤油臭いというよりは甘めのカエシの味で、
色も真っ黒スープ!とはいきませんが
あとの要素はほぼクリアしていると思われます。
若いご主人が一生懸命頑張っている様は好感が持てますし
デフォルトのラーメンが450円というのも嬉しい。
また小さな漁港で生まれた千葉のご当地ラーメンが
佐倉といった千葉の内陸部で食べられるというのも嬉しいですね。
【紫@佐倉レポ】
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