久々のラーメン特番が放送されました。
ゴールデンタイムにしっかり2時間。
数年前のいわゆる「ラーメンバブル」の頃は
ゴールデン2時間3時間は当たり前でした。
しかしここ数年はまずそういった番組がありませんでしたし
やったとしても週末の昼間とか、変な時間帯でした。
そういう意味では各方面からの期待を集めた
非常に注目度の高い番組だったのではないかと思います。
だからこそ、この番組には質が求められた。
しかし、まぁ、酷い番組でした。
どんな番組でも一生懸命関わっているスタッフがいるわけで
そういう人たちの気持ちを考えると、本当に申し訳ないのですが
やっぱり酷い番組だったとしか言葉が出てこないわけで。
正直何をやりたい2時間だったのか、ピントがずれていて
観ている側にまったくと言っていい程伝わって来ませんでした。
先に断っておきますけれど
そもそもテレビでこういう番組をやるという部分で
もうこれはエンターテインメントでしかないわけで
別に真面目にラーメンを語らなくてもいいでしょうし
面白楽しく番組を作ることは当然のことだろうと
私はそんな風に思ってこの番組を見ました。
その上で気になる部分が多々あるなぁと。
まず前半のランキング。インターネットの投票100%なのかと思えば
雑誌やインターネットを反映させた、という逃げ道がありました。
番組監修をされた某氏曰く「精度の高いランキング」とのことでしたが
構成要素が多くなればなるほど、むしろぼやけるわけで、
よほどインターネットオンリーの方が分かりやすかった。
関東ランキングなのか全国ランキングなのかも曖昧。
そしてどう考えてもその順位に無理があると思うのです。
無理というか整合性に欠けるというか。
つまりは今回のランキングの位置づけとしては
後半のラーメンバトルの4軒を選んだ根拠というか
まぁ簡単に言えば「マクラ」だったわけで。
100軒の紹介をあんな短時間でやっちゃいけません。
そういう意味では100軒をじっくりと見せたという点で
数年前にやっていた他局のランキングの方がまだ面白かった。
4軒に対しての説得力を増すための噛ませ犬。
それを96軒も用意する必要があったのかなぁとは思います。
それもきっちりとネットなり店頭なりで投票した結果による
上位4軒ということなら分かりますが
語弊を恐れず言わせて貰えば、あの4軒はそうではない。
はじめにあの4軒がありき、だったように思います。
そういう意味ではポスターを貼らされて宣伝を手伝った店と
投票した人達に対して、非常に失礼な話だなぁと。
ネットでは11月末までの投票で、収録が翌週の金曜日でした。
常識的に考えても投票の結果を見てからの出演要請はないでしょう。
間違いなく11月段階からオーダーはしているはずです。
ましてや創作ラーメンを考える期間が1週間あった、というのですから
11/30に集計結果が出て、その翌日からはもう創作しているという。
テレビを観ている側はいつ収録したのかは知りませんから
その無理も通るというか、観ていても分からないわけですけれど。
そんな無理をしてまで、ランキング上位4軒にする意味があったのでしょうか。
むしろ監修者がいるわけですから、監修者が全国を食べ歩いて
これだと思った4軒に参加を依頼したという方が余程スッキリします。
結局「本当にうまいラーメン店を決める」という、
そもそも無理なこの番組の設定に合理性を持たせたい
ただそれだけのためのランキングだったようにも思います。
そもそも4人の店主が創作ラーメンで競うという番組は
同じ局で昨年だか一昨年にも放送されていました。
しかもそのうちの3店主は今回と全く同じで
ラーメン四天王というネーミングも一緒。
その番組も当初はゴールデンタイムで放送するという話で
一般のお客さんを会場に入れて、といったような番組でした。
私もたまたま収録現場にいたのですが
事前告知や当日の収録の段取りも非常に悪く、
結局一般のお客さんは集まりませんでしたし、
参加された店主さんたちも納得されていませんでした。
放送も日曜か何かの昼間だったと記憶しています。
数字がどのくらいだったのかは分かりませんが
その番組のコンセプトに酷似しているのは確かです。
というよりもですね
そもそもこれって、TVチャンピオンの職人王選手権でしょ?
今回の優勝した店主さんが涙流してコメントを話していた画を観て
ちょうどその店主さんがテレチャン3連覇した時
お台場で涙を流していた時の画を思い出しました。
あ、まったく同じじゃん、って(^^;
また一般審査員(庶民・笑)500人が
一斉にラーメンを食べに駆け込んで来る画は
これも数年前に2回ほど放送された
ラーメンカップの画とそっくりです。
審査員がラーメンを食べる(審査する)際に、
どこが作ったラーメンか分からないという設定も
ラーメンカップの設定を引き継いでいます。
確か今回の番組の監修をされている方は
ラーメンカップの監修者でもあったと思います。
そして、あの仰々しいセットはやはり料理の鉄人ですよね?
高橋某の主宰というのは役は鹿賀丈史のポジションでしょうし
途中何度安住アナウンサーの声が福井アナの声に聞こえたか(^^;
いつ太田レポーターが登場するのかと思ってしまいました。
そしておよそVIPやグルメという言葉とは縁遠い
ぬるい審査員の人選あたりも似ています(笑)
まぁ結局のところ所詮テレビなわけですから、
他の番組の設定や演出を真似したのはいいとしても
後出しならば、前の番組を超えなければ意味がない。
しかし残念ながら他を真似した部分のすべてが
過去の番組に劣っているのが痛いところでしょう。
明らかに過去の番組の方が面白く出来ていたのです。
ランキング部分はその情報量と見せ方いう意味で
某局年末によくやっていたランキングには敵いませんし
バトル部分に関しても、TVチャンピオンの方が
作るプロセスをじっくりと追っていましたから
観ていて感情移入が非常にしやすかった。
ラーメンカップの方が10軒ありましたし
途中途中で色々な店も紹介していたので(湯切り対決とか)
バラエティに富んでいて楽しかったですし、
ラーメンカップは良くも悪くも生でしたから
ライブ感があったと思います。
また料理の鉄人の面白さは、観衆が見守る中で
2人の料理人がオープンキッチンで闘う、
魅せる料理ショーだったところなのであって
それをスポーツのように実況がいて、解説がいて
現場レポーターがいるという部分が面白いのです。
今回はせっかく監修者がいたわけですから
クローズドキッチンであったとしても
その監修者に解説をさせるべきだったでしょうね。
あとは高橋某と鹿賀氏では迫力が違いましたね(^^;
オリジナリティがほとんどない番組でしたが
今回の番組で唯一面白くなりそうだった部分は
店主たちの舞台裏でのコメントでしょう。
マジックミラー越しに様子をみて自分の気持ちや
他の店のラーメンについてコメントをするというのは
なかなか面白い仕掛けだったように思います。
しかしこれもこの部分に割ける時間が少ないというか
観ていて物足りなさは残りました。
また佐野さんの狂言回しという設定も、
これはこの局でしか出来ない設定だったと思います。
そういう意味では中途半端なタレントなどは使わず
むしろ前半は彼一本で行ってもよかったのではないかと。
もっとしっかり脚本も練って、完全に演じさせる。
演らせる側にも演る側にも多少の遠慮が感じられました。
そしてその遠慮は観ていて非常に恥ずかしい。
これは想像なのですけれど、多分今回の番組は
3〜4時間、下手すれば5時間くらいの枠を使って
当初作ろうと思ったのではないか、と思うわけです。
前半の2時間くらいでじっくりランキングを見せて
後半の2時間でバトルを見せる、2部構成の番組。
しかもこんな半端な日ではなく、大晦日や元日か何かに。
しかし諸事情によって2この日に時間枠でやらざるを得なくなった。
ギリギリまで放送日や時間も決まっていませんでしたから
もしかしたらゴールデンを取るか4時間をとるかといった
選択を迫られたのかも知れません。
で、結局4時間分で考えていたところを2時間に圧縮。
だったらランキングなどは捨ててよかったと思うのですが
4人をなぜ選んだのかというエクスキュースは残したい。
結果、あのような見せ方になったのではないかと思うわけです。
それであの中途半端さになったのではないかなと。
ただこれだけは分かって欲しいのは
過去にテレチャン、ラーメンカップや四天王対決などの
様々な収録現場でその舞台裏に立ち会いましたが
参加されている店主さん達は皆ガチンコで真剣だということ。
その日まで本当に寝る間を惜しんで準備を重ね
収録当日もテレビだということを忘れて真剣に闘っています。
だからこそそれを伝える制作側の人たちには
それこそ真剣にしっかりした番組作りをして欲しいと
そんな風に思うわけです。
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