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2006/02/01

懐かしの総豊

fusayutaka1我にある地元の人気店。
蘇我駅を越え、末広街道も淋しくなるあたりの
交差点の角にある小さなお店です。
昼にはまったく目立たないお店ですが
夜になるとたった四坪の客席が一杯になります。
時津風部屋出身の元幕下力士が営むラーメン店。
それが「ちゃんこらーめん総豊」です。

一時期、蘇我駅に程近いマンション住まいをしていたこともあり
この周辺はいわば「庭」みたいなモノでした。
その頃はまだラーメンの食べ歩きも本格的になっておらず
食べに行くとしても都内まで出掛けるのが常で
地元で混んでいる人気ラーメン店とは知りながらも
まず足を運ぶことはありませんでした。

その後千葉でラーメンの食べ歩きを始めることとなり
この店のことも気になっていたので、当然食べに行きました。
飲んだ客がざわざわしながらだらだらとラーメンを食べており
ラーメン専門店というよりも飲み屋のような印象を持ちました。
当時HPをやるつもりもなく、デジカメも持ってない頃でしたので
サクッと食べてササッと帰るだけのこと。
食べた当時のメモや写真は一切残っていませんでした。
印象としては可もなく不可もなく普通のラーメン。
そんなイメージしか残っていませんので
今更レポを書きようがありません。

ただ私が行かない店でもユーザの皆さんから
レポや写真をご提供頂けることが多く
その場合はページが構成出来るわけですが
この店に関してはそういった素材が届きませんでした。
なので、千葉拉麺通信にはこの店のレポはありません。
記憶も随分とおぼろげになっていて
いつかはまた行かなければ、と心の片隅にあった
ある意味「宿題店」だったのかもしれません。

この店の前はそれからもよく通り
時折寄ってみようかなぁと思うこともありました。
しかし、ホントいつ見ても混んでいるんですね。
外から眺めるといつも人影がいっぱいで
また今度にしよう、と思って諦める。
そんなこんなで気が付けばもう7年以上。
今回掲示板でこの店のことが話題になって
これも何かのタイミングなのだろう、と
本当に久しぶりに総豊へ足を運びました。

店内の雰囲気というか印象はおぼろげではありますが
かつての雰囲気と大差ないように思いました。
基本のメニューである「らーめん」を頼み
ラーメンが出来上がるのを待ちます。
JOLFが流れているのも、酔っぱらいがくだをまいているのも
あの時と変わらないように感じます。
この店は私がラーメン食べ歩きをした頃
あのままの雰囲気で私を迎えてくれました。
しかし、あの時と今この時は明らかに違う。
そのことに気づくのに時間はそうかかりませんでした。

この店の厨房はクローズドキッチン。
客席から厨房の様子を見ることは出来ません。
麺は平ざるなのかテボなのかも見えません。
寸胴の大きさは、火口の数はいくつなのか?
レードルはどのサイズを使ってカエシをどれだけ入れているのか。
麺箱も積まれていないので製麺所が分かりません。
ラーメンが出てくるまでにチェック出来るところがあまりなく
ただひたすら酒を飲んでいる人たちの会話に
耳を傾けているだけでした。

fusayutaka2そしてラーメンが出てきました。
割り箸は安いタイプのモノで乾燥しており
妙な割れ方をしてしまいます。
まず丼の形状が非常に気になりました。
底の浅く口の広い丼はスープをすぐ冷まし
麺が底に当たり泳ぎ辛くなってしまいます。
丼に顔を近づけ香りを嗅いでみます。
甘いカエシの香りとカツオなどの香ばしい香り。
スープの素材は鶏ガラとゲンコツがメインでしょう。
一昔前に流行ったいわゆる「ゲンコツスープ」と
ベクトルはほぼ同じのラーメンと言っていい。
そこにおそらくカエシで和ダシを加えています。
節系の香りとうま味がぐいぐいと攻めてきます。
背脂も程良い甘さがあってバランスもいいです。
背脂は量を好みで増減可能のようです。
敢えていえば、少しカエシと和ダシが多いでしょうか。
おそらく飲んだ客を意識しての塩梅なのでしょうが
素面の私には、結構塩っぱく感じてしまいました。

縮れてツルツルシコシコした食感の麺は
麺単体で味と食感を確認してみても
歯切れもよく、いい感じの麺です。
半個ついている味玉は美味でしたが
トッピングの味玉は半熟と書かれていたので
またこれとは別に仕込んでいるのでしょう。
いわゆる「ふえるワカメ」が乗っていますが
このワカメの量は少し多いかなと思います。
チャーシューはバラ肉を使用していて
ほのかな甘さが残るいいチャーシューです。
全体としてはコストパフォーマンスもよく
人気なのもうなづける一杯だったと思います。
来て良かった、そう思わせるラーメンでした。

私ラーメン食べ歩きを始めたあの頃と
変わらぬ雰囲気で迎えてくれた総豊。
しかしその私自身があの頃と変わってしまっていました。
クローズドキッチンであることで厨房の様子が見えず
寸胴やレードル、麺箱をチェック出来ない。
そんなことはあの頃ちっとも思わなかった。
割り箸や丼なんかも別に気にしませんでしたし
スープは透明か濁ってるか、麺は太いか細いか
チャーシューは大きいか小さいか、脂身があるかないか。
そんなレベルでしかラーメンを捉えていませんでした。

良くも悪くもラーメン食べ歩きのスキルが上がり
あの頃ならば気にも留めなかったことに
あれもこれもと気になっている自分が
あの頃とまったく変わらずに私を迎えてくれた
総豊のカウンターに座っていました。
あの時と今この時は明らかに違う。
その違いは私自身にあったのです。

毎日県内のラーメンを食べるために飛び回り
時には雑誌の取材やテレビのクルーとともに
ある種ラーメンを素材として扱うような日々。
食べ歩きを始めた頃と今の自分との違い。
そのことに日々気づかされることはあまりないのですが
総豊のカウンターに座ってラーメンを待っていて
そのことをストレートに感じてしまいました。

ラーメン食べ歩きを続けている方にとっては
きっと誰もが同じ体験をするのかも知れませんが
ラーメンを食べる数が増えていくことによって
舌も肥え、経験値も増え、知識も増えて
ラーメンを語る語彙も多くなり
「うまい」「まずい」だけで語れなくなってきます。
そして感動のレベルが高くなるというか
ちょっとやそっとでは感動出来なくなっていきます。
この店を久々に訪れたことで自分の変化に気づかされました。
そしてそれはどこか寂しさを覚える瞬間でもあったのです。

【総豊@蘇我レポ】
【らーめんふさゆたかHP】

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コメント

Rickyさん。こんばんわ。

総豊の記事、何べんも何べんも読ませていただきました!! 普段気づかなかった点にいくつも気づかせてもらいました。Rickyさんご自身の変化も、興味深く読ませていただきました。(トラバもありがとうございました!)

>この店を久々に訪れたことで自分の変化に気づかされました。そしてそれはどこか寂しさを覚える瞬間でもあったのです。

この点はご察し致します。「寂しさ」っていうのが、なんとなく分かる気がするんです。(ただ僕の場合、6年前にこの総豊と出会い、ここを超えるラーメンと出会いたい一心でラーメンの世界に入ったので、どうしても「気持ち」(思いいれ)が入ってしまうんですよね)

>敢えていえば、少しカエシと和ダシが多いでしょうか。

この点も共感しました。最近魚介の和だしが強調されてきているんです。でも、(僕の解釈ですが・・)総豊の第二ステージへの試行錯誤だと思っています。これまでげん骨系スープだったのですが、次の段階へのスタートなんだと理解しています。(だから、また是非数年後にまた食べていただいて、評していただけるとファンとして嬉しいです)

>ラーメンを食べる数が増えていくことによって舌も肥え、経験値も増え、知識も増えてラーメンを語る語彙も多くなり「うまい」「まずい」だけで語れなくなってきます。

そうですよね。言葉が増えることで、分節化が進み、単純な判断ができなくなりますよね。(まだ僕は「旨い」という言葉を使ってしまうところがあり、未熟さを感じてしまいます)

僕も、今回のRickyさんの記事を読ませていただいて、まだまだ未熟だなと思わされました。ありがとうございます!!!

これからも楽しくかつ真剣に読ませていただきます!(ご健康を祈りつつ)頑張ってください!!!! 僕も千葉ラーメン道を歩み続けます!!

投稿: kei | 2006/02/02 23:50

こんばんは、コメントありがとうございます。

keiさんたちが総豊について語って下さって
私に再訪するタイミングを与えてくれました。
このことにまず感謝します。

僕の中ではこのお店に関しては「点」でしかなくて
keiさんのように「線」になっていないわけですから
語っている内容は断片でしかないのだと思います。
ぜひ、keiさんの総豊レポを送って下さい。
HPにレポとしてアップしますので。

>まだまだ未熟だなと思わされました

ラーメンを食べるのに未熟も何もないですよ♪
皆でワイワイ楽しく、千葉のラーメンを楽しみましょう☆

投稿: Ricky | 2006/02/03 02:13

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蘇我といえば「総豊」だろん、と聞いていたのだが仕事の都合もあって結局「牙」に再度行く。今度はつけで。つけそば 800円木更津からわざわざ遠く蘇我まで毎夜出てきたには理由がある。蘇我はちいさな町だが食べるべきラーメン屋は多いのだ。先に挙げた「総豊」のちゃ...... [続きを読む]

受信: 2006/02/13 00:09

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